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トリックアートとはなんでしょう

視覚にある種の錯覚を与え、現実にはありえないような不思議な光景・風景・造型を表現する手法・作品を、トリックアートと言います。

遠近法や陰影法、色彩、3次元(3D)などを巧みに利用して作られたものですよね。特に厳密な定義は無いような気がします。ちなみに、絵画や造形物を見た時に錯覚を受ける事を、「錯視」と表現する事があります。

たとえば、以下の様なものは、一般的によく知られている、代表的かつ古典的な騙し絵の例ではないでしょうか。

  • 一見すると普通に描かれた絵画なのに、実は「人間や動物など」が隠されている。
  • 歩いて上り続けても、同じ高さや位置に戻ってくるような階段。
  • 角度を変えて見てみると、まったく違った物に見える。
  • 額縁からはみ出した絵画、さかさまの造型。
  • 遠くから見た時には立体に見えていたのに、近づいてみると平面的な壁画だった・・・・・

きっと古来から、視覚と脳を翻弄・刺激するような、一風変わった絵を描いた芸術家や職人は存在したと思います。
歴史的には、千年、二千年といった昔から、騙し絵の手法は存在していたようです。

描き方・作り方

絵画を学ばれた方や、絵心がある方なら、まずは例えば、エッシャーや、ジュゼッペ・アルチンボルド(野菜や花で顔を表現した15世紀頃の画家です)など、騙し絵の巨匠たちを参考にしながら描き方を練習されたら、割と早くコツをつかめるのではないかと思います。

アイデアのヒントとしては、個人的にはダリやピカソからも刺激を受けますし、福田繁雄さんや横尾忠則さん、安野光雄さんあたりからも、イマジネーションが湧いてくるのではないかと思います。また、トリックアート、騙し絵の描き方や作り方について著された書籍も刊行されています。ウェブ上で作品を公開されている方もいます。木工、クラフトで立体物を作るのも楽しそうですよね。

トリックアート美術館がたくさんあります。

トリックアートや騙し絵に関する常設美術館が、調べてみると国内には幾つもあります。通常の美術館のように鑑賞するだけではなく、参加・体験型を実施しているところが多いので、子供から大人まで家族一緒に、遊び心や想像力を働かせて楽しむ事が出来るのではないかと思います。堅苦しいことは抜きにして、アミューズメント感覚で遊べるといった感じですよね。これらの施設は、基本的には、「触ったり写真撮影をしても大丈夫」となっています。

全国のミュージアムの例

【高尾山トリックアート美術館】
東京都八王子市の高尾山のふもとに所在しています。古代エジプトがテーマのひとつです。

【那須とりっくあーとぴあ】
3つの施設(ミケランジェロ館、迷宮館他)があります。壁画に関する特許取得している美術館です。栃木県那須町の那須高原に所在。

【旧軽井沢森ノ美術館】
世界の名画のパロディや心理的錯覚を引き起こすだまし絵などが楽しめます。作品の制作や監修は環境壁画家の「り・ぞう氏」です。

【上富良野トリックアート美術館】
北海道の空知郡上富良野町にあります。X JAPANのYOSHIKIさんの作品を落札した事でも話題に。冬季(12~3月)は休館です。

【とりっくあーとぴあ日光】
栃木県日光市、鬼怒川温泉、日光江戸村・猿軍団などの近くに所在しています。

【湯布院トリックアート迷宮館】
九州屈指の人気温泉地にあります。たくさんの不思議な仕掛けがあり楽しめます。

騙し絵(だまし絵)のメモリー

サイト管理人が個人的にまず思い浮かぶのは、中学生くらいの頃の美術の教科書に掲載されていた、オランダの画家、エッシャーの絵です。洋風の建物で、歩いても歩いても上の階には上がれず、同じフロアを堂々巡りするような絵が、不思議に感じたものです。

その当時は、トリックアートという言葉ではまだ一般的ではなくて、騙し絵(だまし絵)と呼ばれていたと記憶しています。

少なからずアート的なものに関心があった私は、10代の頃には、見よう見まねで描き方を考えて「だまし絵」風の絵を描いたり、ヘンテコなオブジェを作ったりもしました。

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私は、サルバドール・ダリのシュールな作品群にも、トリックアートっぽい雰囲気を感じる事があるのですが、 西洋美術的には、シュールレアリスム(超現実主義)の形態が活発化した頃(19世紀末から20世紀前半)における表現手法として、 よく用いられる事もあった、と伝聞した事があります。

ところで現代では、様々なバリエーションのトリックアートが発表されています。

騙し絵は、以前なら、絵画やオブジェの作品が主流だったと思うのですが、いまでは映像を用いた作品を発表している方も多く見かけます。特にコンピューター・グラフィック(CG)は、ある意味、手軽にトリックアートを楽しめる表現手法かもしれません。ちなみに国内では、グラフィック・デザイナーの福田繁雄さんが、この表現世界の先駆者として知られているそうです。(岩手県二戸市には、常設展示場の福田繁雄デザイン館があります。)

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